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睡眠本まとめ

産業医面接でも診療においても、お勧め本をよく聞かれます。

本やワークショップなどを通じて病気や症状の知識を正しく得てもらうことで、半分治ったも同然!と、わたしは思います。心理学の世界では、正しく病気や症状の知識を得ていただくことを”心理教育”と呼びますが、ほんとうにこれだけで不安が下がりますし、無駄なエネルギーを減らすことができます。そんな理由から、分野ごとに読んだ本をまとめてHPに置いておきたいなと長年構想していたのですが、いよいよご紹介できる本のストックも増えてきたので、この夏とりかかります!

第一弾は睡眠本。睡眠の分野は年々新しい研究が明らかになっている分野である(=まだわからないことも多い)ことと、いろんな人が玉石混交な知識を広めているところが業界の特徴です。ですので、ネットに散在している情報は、マットレスを売るため、、、かもしれませんし、質もさまざま。

睡眠に興味を持ったら、10年以内に発刊された基本的な本を押さえておくことをおすすめします!

《お勧め本》

***睡眠のはなし - 快眠のためのヒント (中公新書) 新書 – 2014/1/24 内山 真 (著)

日本の睡眠の第一人者による本。睡眠について網羅的に、ウェル⚫️っぽくないwちゃんとした知識を得たいならこの本がおすすめです!章立ては下記の通り。最後に引用文献も記載しています。

I 睡眠のメカニズム 第1章 睡眠とは 第2章 なぜ眠くなるのか 第3章 レム睡眠とノンレム睡眠 第4章 眠りの長さ 第5章 季節の変化と睡眠 第6章 朝型・夜型と体内時計 第7章 午後の眠気と昼寝 第8章 眠りと記憶と忘却 第9章 夢を見る仕組み 第10章 金縛りと寝ぼけ II 睡眠と健康 第11章 リズムの不調による慢性の睡眠障害 第12章 時差ぼけと交代勤務の科学 第13章 睡眠と感染症・肌荒れ・肥満 第14章 何が眠りを妨げるのか 第15章 不眠症のメカニズム 第16章 四つの睡眠障害 第17章 睡眠薬とのつきあい方 III 睡眠とうつ病 第18章 心の疲れ・うつ病 第19章 うつ病のメカニズム 第20章 うつ病の予防と断眠療法 資料 睡眠障害対処12の指針

《すぐ読める本》

根拠となる引用文献はほとんど記載されていませんが、手軽に読めて良心的な内容の本を挙げておきます。

*最新科学で解き明かす最高の睡眠 (洋泉社MOOK) ムック – 2017/7/5

田中秀樹 (著), 内山真 (著)

**できる大人9割がやっている 得する睡眠法 単行本 – 2017/4/7小林 瑞穂 (著), 森下 えみこ (著)

漫画・カラーで、伝え方に工夫があり読みやすいのですぐに取り組みたい方にお勧めです。”プレゼンの準備で徹夜作業に。翌日に疲れを残さないためには?”など、働く人をターゲットとしており、通勤の時間に一日で目を通せる気軽な本です。

《有名な本》

*スタンフォード式 最高の睡眠 単行本(ソフトカバー) – 2017/2/28西野精治 (著)

アマゾンベストセラーですね。

p38 ショートスリーパーは遺伝で決まる

p48  お金の負債は返せても睡眠負債はなかなか返せない 

といった内容は、裏付けもありよかったです。一方で、眠りはじめの90分が大事!!!と強く書いてある割に根拠とした思考の流れや研究の記載がほぼないなど、疑問が残る部分も。あと、スタンフォードがいかにすごいかとか、(ナルコレプシーの専門家なので、)ナルコレプシーの話がちょいちょい入ってきますので、その辺は読者の期待とちょっとずれるかもしれません。

*SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術 単行本(ソフトカバー) – 2017/2/24

ショーン・スティーブンソン (著), 花塚 恵 (翻訳)

世界最先端の21の科学的睡眠メソッド、と帯には書いてありますが、引用文献の記載はほぼなく、著者がどこかから聞いたはなしなのでは?と思ってしまうところがたくさんあります。そもそも”健康アドバイザー”という肩書きの著者なので、面白く話すことに長けている方なのだと思います。ただし、読み物としては楽しくさせる内容です。

《今度こそ睡眠習慣を変えてやるぞ!という人向けの本》

睡眠習慣を変えるため、実際の行動の提案を中心に書いてある本です。この種類の本には根拠となる引用文献はほぼ記載されていませんが、あまりにも???なことを書いてある本は外して紹介しています。

**できる大人9割がやっている 得する睡眠法 単行本 – 2017/4/7小林 瑞穂 (著), 森下 えみこ (著)

すぐ読める本をご参照ください。

*あなたの人生を変える睡眠の法則 単行本(ソフトカバー) – 2012/9/12菅原洋平 (著)

**誰でもできる! 「睡眠の法則」超活用法 単行本(ソフトカバー) – 2013/9/12 菅原 洋平 (著)

これも有名な本ですね。作業療法士さんだけあって、取り組みやすそうなことからうまく提唱されているなあと思います。

菅原さんの提唱される”起床から4時間以内に光を見て、6時間後に目を閉じ、11時間後に姿勢をよくする”のうち、なぜ6時間後に目を閉じることにしたのか、なぜ11時間後は姿勢を良くする(数ある運動のうち)にしたのか、どんな研究や経緯からそう考えるようになったのかなど、一度聞いてみたいなあと思います。内容は似ているので気になる方は新しいほうを買われるといいと思います。

*「昨日の疲れ」が抜けなくなったら読む本 ~こころとからだをリセットする42の新習慣 (だいわ文庫) 文庫 – 2016/6/10 西多昌規 (著)

精神科医で睡眠専門医である西多先生の本。42の習慣が順に提言されていて、できそうなところからやるのでいいと思います。漫画ではなく、文章になっているほうが読みやすい方にはお勧めです。

おしゃれに気を使うほうが元気になる、とかは、まあ、、そりゃそうだよねって思いましたがw 睡眠だけというよりも、気分が晴れなくなったときに、抑うつ気分の悪化を予防する本と思って読んでもらうとしっくりくると思います。

*“ぐっすり”の練習ノート 単行本 – 2015/4/25白濱龍太郎 (著)

呼吸器科医であり睡眠クリニック院長の白濱先生の本。練習ノートとあるので、毎日ログをつけているわけなんですが、装幀が、右ページは1日ごとの睡眠ログ、左ページは睡眠の説明なので、なんか使いにくい気がします。買う前に立ち読みで確認することをお勧めします。

《バリバリ読みたい方むけ》

***睡眠障害の対応と治療ガイドライン 単行本 – 2012/5/20

内山 真 (編集), 睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会 (編集)

色々と睡眠本を読みましたが、厚生省研究班の報告書は本当によくまとまっているなあと改めて思った次第です。こちらは研究班の研究成果をもとにまとめたものです。とはいえ、内容は専門的になりすぎず、医療職以外の方でも興味を持って読んでいただけると思います。

**眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密 単行本 – 2015/11/20ペネロペ・ルイス (著), 西田美緒子 (翻訳)

科学的な読み物として、スタンフォードやSLEEPより、ずっと内容が濃くて面白かったです。睡眠コントロールだけでなく、夢や記憶などさまざまな分野の睡眠研究を取り上げています。マンチェスター大学の「睡眠と記憶の研究所」所長。内容が詳しいので、読むのに根気がいりました。

**極論で語る睡眠医学 (極論で語る・シリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2016/9/29河合 真 (著), 香坂 俊 (監修)

睡眠が専門外の医療者向けです。専門外の医師にとっても読みやすい内容で、覚えなければならないポイントがまとめてあるなど、ありがたいです。あと、文献の引用が非常にしっかり記載されています。

《疾患別の解説の詳しい本》

***睡眠障害の対応と治療ガイドライン 単行本 – 2012/5/20

上記ご参照ください。

*睡眠の教科書――睡眠専門医が教える快眠メソッド 単行本(ソフトカバー) – 2017/4/6 ロバート・ローゼンバーグ (著), 上野元美 (翻訳)

疾患別の説明があるので、聞きなれない睡眠にまつわる病名を告げられた!などの時に、参照してください。

《その他》

*悪夢障害 (幻冬舎新書) 新書 – 2015/9/30西多 昌規 (著)

1冊まるごと悪夢についての本です。p48 前頭葉基底部や頭頂葉が損なわれると夢を見なくなる、p53ストーリー性の強い夢はレム睡眠中に見る など、夢にまつわる知識をひろく得られます。

*寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本 単行本(ソフトカバー) – 2017/4/19梶本 修身 (著)

疲労研究に長年携わった医師の本です。ご専門は疲労研究なので、睡眠の話もさることながら疲労物質やホルモンなどの説明が多い本です。疲労・自律神経・ホルモンの働きを知りたい方にはお勧めです。ただしあまり引用文献は記載されていません。

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